小沢一郎氏「起訴相当」検審議決は検察にとっても脅威
民主党の小沢一郎氏が強制起訴されることになりました。私の記憶の範囲では、明石花火大会歩道橋事故、福知山線脱線事故に次ぐ3回目の強制起訴となります。
今回、強制起訴となりましたが、裁判で無罪となることは確実であり、検察にとっても非常に不都合のある判断になったと思います。
本ブログではすでに指摘したとおり(小沢一郎「問題」)、小沢氏に対する疑惑は残っていないといってよいでしょう。今回、検察審査会で議論されたことは、結局のところ「土地購入代金に関して政治資金報告書に記入したのが、支払い時期ではなく登記日になっていることを、小沢氏が知っていたかどうか」だけが問題だったわけです。しかし、報告書には支払日ではなく登記日を記載する方が正しい(厳密にいえばどちらに書かなくてはいけないのかは決まっていない)ことを勘案すれば、「小沢氏が知っていようがいまいが無罪である」というのが私の考えです。
今回の議決要旨を見ると、現状起訴されてる3人と小沢氏が共謀していた可能性が排除できず、「国民は裁判所によって本当に無罪なのかそれとも有罪なのかを判断してもらう権利があるという考えに基づくもの」であるとしています。そして、検察審査会の役割を「嫌疑不十分として検察官が起訴をちゅうちょした場合に、いわば国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度である」としています。つまり、検察審査会はすでに起訴された3人の起訴事実についての審査はそもそもせずに、3人が有罪であることを前提として「小沢氏と共謀の可能性がある」と判断しているわけです。細かい点についても、「利子を払ってまで定期預金を担保に融資を受けることが不自然である」とか「4億円の出所を明らかにしない」などの指摘にとどまっています。これらの論点については、私もブログエントリで指摘したとおりです。はっきり言ってしまえば、すでに説明されていることを「説明責任を果たしていない」として議決を行っているということです。私は、むしろ検察審査会や担当検察官である斎藤氏、担当弁護士である吉田氏が、「きちんと調査をするという責任を果たしていない」と思います。
しかし、今後、捜査権が指定弁護士に移り、検察が収集した証拠も引き継がれることになります。村木厚子氏の公判でも明らかになったとおり、検察は不利な証拠を隠す傾向があることが指摘されています。今後、指定弁護士が公判を担当するにあたって、証拠をすべて開示していくとしたら、すでに起訴されている3人の裁判について、検察に不利な証拠も開示されていく可能性があるでしょう。その意味で、今回の強制起訴は検察にとっても不都合なものです。逆にいえば、本当はできることなら検察は自分で起訴したかっただろうと思います。しかし、無罪の公算があまりにも高い案件で裁判に持ち込むのは無理だった。検察審査会では、「国民感情」を全面に出す形で調査を十分に行わなかったために、検察にとっても望まない結果となってしまったのだと思います。
ちなみに、検察の不起訴処分に対して、不服申立てをした人物もは在特会(在日特権を許さない市民の会)代表の桜井誠氏です。在特会は、日本の極右団体で、朝鮮学校や日教組への威力業務妨害などで逮捕者などを出しています。
さらにいうと、小沢氏の秘書である大久保氏の供述調書をとったのは、今回の検察不祥事で逮捕された前田恒彦氏です。非常に信用できる調書なんでしょう。
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