宮本太郎さん講演

福島みずほと市民の政治スクール」で、北海道大学教授の宮本太郎さんの講演を聞いてきました。素晴らしい内容で、今後の社会保障の在り方について非常に勉強になりました。

大雑把にまとめると、これまでの日本社会は「教育→雇用→年金」というレールが前提であり、社会保障は年金に偏っていました。子育てや介護は家族が担い、被雇用者の社会保障は企業が担うことが求められていたからです。これは、私の指導教官である広井良典さんのいうところの「公共事業型社会保障」にあたります。そのため、障害を持ったり、失業をしたり、離婚したりして(母子家庭など)、「雇用」のレールから外れた人は再チャレンジのチャンスもなく、社会的に阻害されてきました。しかし、「雇用」が安定していたときには、これらのリスクは見えにくく、問題にされてこなかったといえます。

近年、雇用の流動化により、レールの中心であった雇用が不安的になっています。そうなると、レールから外れる人が増え、「雇用」の場に復帰できないことで大きく問題になってきました。そこで、宮本氏は、「雇用」を中心にして、その周りに「教育」「失業」「障害・老齢」「子育て・介護」という4つのステージが「雇用」と繋がっている図を提示しました(図参照)。そして、それぞれのステージから「雇用」への行き来ができるような、橋渡しとしての社会保障が必要だとして、これを「翼の社会保障」と呼んでいました。

この講演で、個人的に非常に興味深かったことは、スウェーデンにおける「家族」のあり方で、例えば「看とり休暇」を取る際には、狭義の「家族」ではなく「身近な人」という概念があるということでした。その意味で、単に血縁としての家族でなく、多様な家族を制度として認めているスウェーデンは、これからの日本の社会制度を考える上で見本になってくると思います。

今度は『生活保障――排除しない社会へ』(岩波新書)を読んでみたいと思います。

その後、参議院議員会館の福島瑞穂さんの部屋で会議をしました。福島さん本人もですが、福島さんの周りにいる方々も、みなさん本当に素晴らしい人で、「今年は社会活動に力を入れていきたい」と改めてエンパワーされました。

このブログは気まぐれなので書き込みは不定期ですが、今年もよろしくお願いいたします。