20光年の移動にかかる時間

一昨日の日記で分かりづらかったと思うので、あらためて20光年の移動にかかる時間について解説します。数式も使うのですが、読み飛ばして「こんなもんか」と思ってください。

20光年とは「光の速さで20年かかる距離」のことです。地球から20光年先の惑星に光を送ると、20年で到達します。だから、光速の90%のロケットだと、20 \div 0.9 \approx 22年かかって到達するように地球からは見えます。50%だと40年、10%だと200年です。

しかし、ロケットの中の人の時間は違います。それは、ローレンツ収縮という相対性理論の効果のためです。ローレンツ収縮とは、光速に近い速度で移動しているものを見ると、長さが縮んで見えることです。その効果は、ロケットの速度をv、光速をcとすると、\sqrt{1 - \left(\frac{v}{c}\right)^2}で現れます。地球から見たときに20光年である惑星との距離は、光速の90%で進むロケットの中からは、20 \times \sqrt{1 - 0.9^2} \approx 8.7光年と、半分以下の距離になってしまうのです。だから、ロケットの中の人は、8.7 \div 0.9 \approx 9.7年、つまり約10年で惑星に到着してしまうのです。

地球上の人にとって20年かかる時間で、ロケットの中の人は10年しか感じません。これを「時間の遅れ」といいます。光速に近づくと、このような一見不思議な効果が現れるのです。