大阪都構想

昨日、「大阪都構想」をテーマに話したのでまとめます。

まず、都構想推進派が目指すことを整理します。これは、大きく言って「住民自治の強化」と「二重行政の解消」の2点です。1点目の「住民自治の強化」とは、人口が約270万人の大阪市基礎自治体として大きすぎる(住民と市役所の距離が遠い)ため、もっと小さな単位(人口30〜50万人規模の特別区)を基礎とするということです。現在、大阪市の持っている権限を、大阪都特別区に分けることになります。2点目の「二重行政の解消」とは、従来の大阪市大阪府の連携がうまく行かず、同じような施設(典型的には図書館や体育館など)や事業を展開するなどの非効率な行政運営を解消し、スリム化しようというものです。

では、それぞれについて、もう少し検証します。まず、「住民自治の拡大」という点では、特別区の権限について知る必要があります。大阪市の権限が特別区に移行できるのであれば、行政単位が小さくなるので住民自治が拡大します。しかし、特別区の権限は、一般市町村に比べてはるかに小さく、固定資産税の徴収や都市計画の決定などの権限もありません。そのため、現在の大阪市の権限は、そのほとんどが大阪都に移行されることになり、実際には住民自治は縮小されることになります。東京都特別区では、これらの権限移譲を求める運動が長く続いており、「特別区」という存在自体が疑問視され、特に世田谷区などでは特別区から一般市への移行を求める声もあります。

次に、「二重行政の解消」です。これについては、大阪市を廃止することで、もちろん解消することができます。ただし、これまでの二重行政を解消できるわけではありません。大阪市とは状況が違いますが、千葉市政令指定都市移行の際、県と市で協議を重ねて事業の移行をしているため、二重行政といわれる事業はほとんどありません。大阪市も、現在は大阪府との協議会を設置し、新しい事業については二重行政が解消されつつあるようです(むしろ、府知事と市長を維新で確保しながら、このような協議を行っていなければ、それが大問題です)。

以上のように、大阪都構想は想定されるメリットに比べて、デメリットが大きすぎるため、私は反対の立場です。