千葉市長選挙から考えるこれからのネット選挙

今日は、「千葉市長選挙から考えるこれからのネット選挙」というテーマで話してきました。先月行われた千葉市長選挙では、残念ながらネット選挙解禁が間に合わず、インターネットを利用した選挙運動はできませんでしたが、今後のネット選挙に向けて試行的な活動を展開できたと思います。

ネット選挙に触れる前に、まずは現在の選挙制度について簡単に説明しました。まずは選挙運動と政治活動の違いです。選挙運動とは「特定の選挙で特定の候補者への投票依頼をすること」で、公示日(告示日)から投票日の前日まで行うことができます。政治活動とはそれ以外の政治的活動のことです。選挙運動は公職選挙法によって非常に強く規制されています。例えば、不特定多数に配ること(頒布)や掲示ができる文書図画は、選挙管理委員会の許可を受けたビラや、選挙用のはがき、選挙用ポスターなどに限られ、それ以外は使用できません。一方、政治活動は選挙運動に比べると非常に弱い規制となっています。手法についても限定はなく、数の制限等もほとんどないといえます。そのため、告示前の政治活動には、インターネットを利用することが、従来も可能でした。同時に、個人が誰を応援しているか公言することは選挙運動にあたりません。ネット選挙解禁でできるようになるのは、選挙期間中のインターネットを利用した選挙運動です。つまり、インターネットを利用して投票の呼びかけをおこなうことができる、というのが今回の大きな改正なのです。

では、ネット選挙解禁でどのようなことが期待されるでしょう。ひとつは候補者との接点が増えることです。これまで、駅頭で演説しているところや集会に足を運ぶことでしか候補者と接することはできず、大人数の場では一人ひとりが質問や意見を言うことは難しく、事実上一方通行だったといえます。しかし、SNSTwitter等を利用することで、候補者本人に直接政策提言を行ったり、質問を投げかけたりすることができるようになるでしょう。ふたつめは、選挙費用が少なくなることが期待されています。しかし、私個人の考えとしては、広告の手段が増えたことに伴い費用は増大こそすれ、減少はしないだろうと思います。

さて、今回の千葉市長選挙では、告示前の政治活動として様々な新しい取り組みを行いました。その中でも特に注目されるのがTwitterFacebookユーザ限定対話会の開催です。いずれの対話会も開催通知からわずか数日で定員に達し、市政への関わりの少ない世代が多く参加しました。その他、政策アンケートの実施や、講演会等のUstream中継、フェイスブックページでの情報発信などの取組も行いましたが、これらが成功した背景にあるのは、熊谷市長本人がこの4年間きめ細かに情報を発信し続けた結果多くの方にフォローされているということです。この選挙では他の候補者もTwitterアカウントやフェイスブックページを作成していましたが、選挙直前の開設でフォロワーも伸びることはありませんでした。つまりネット選挙を成功させるには、長期に渡る活用が必要だろうということです。

最後にやり残したこと。これは、マニフェストの早期公開と、それに対する意見募集により、マニフェストのブラッシュアップを図ることでした。ガバメント2.0の選挙版のイメージです。今後の地方におけるネット選挙では、選挙2.0ともいえる選挙が展開できることが、私の期待するところです。